千代の鶯

作曲者:光崎検校


調弦【三絃】:本調子


調弦【箏】:半雲井→平調子


歌詞:

悦びの 眉を開きて 天の戸の 一夜明くれば 春立つや 霞棚引く 東山
前の流れは 底清き 加茂の川瀬の 曙の 寝耳に水の幸ひを 告げてや遊ばん 百千鳥
友呼び集う 笹舟の つなぐ縁の 親しみも 下の新地の 麗しさ 柳桜の 類いなく
わきて我が住む 軒毎の 飾り枝ならぬ 花の縁を 万代呼ばふ 鶯の声


解説:

人々が喜びの顔で見つめる中、天の岩屋戸が開き
暗闇の国に再び光が戻った時のように
一夜が明けると、新しい春がやって来るのは
霞が棚引く東山の空である。
その前の流れは、底まで清らかに見える鴨川の川瀬の曙の色
一夜にして全てが新しくなるという、寝耳に水のような幸いを、
百千鳥が人々に告げて遊んでいるようである。川を流れる笹舟は友を呼んで集う。
縁のある者同士の親しい交わりも、下の新地のうるわしい景色である。
柳や桜がたぐいなく美しく、とりわけ我々が住む家の軒ごとの飾りのような
花の枝の縁を、永遠に呼ぶ鶯の声であるよ。

分類: