比良や小松

作曲者:三味線組歌 破手組


調弦【三絃】:本調子


調弦【箏】:


歌詞:

一 イヨ 比良や小松の 朝通ひン
  イヨツ 褄がイヨ 褄が濡れ候ン 磯打つナンン浪ン
二 イヨ 塩津海津に ある時はン イヨノウソレ
  上り イヨ 上りたいよノヤン 坂モモン ソレ本ヘン

三 門に立ちたは ン八文字ン様か
  夜風身ン毒 ン夜風身の毒 内にやござれ

四 何時(いつ)の何時(なんどき)イヨそなたをソレ見初め
  賤がイヨ身は ただ磯辺のイヨ千鳥 啼かぬ間もなや イヨ君ゆえに

五 此処は三条か ヤレ釜の座か 一夜泊まりてしげり参らしょ
  エイ我が殿御は名古屋にござる さてもお留守は 物憂いものよ
  イエイえいえい さらさらと石を曳く
  えいえいえい やっと言て 曳くには夢だんべ
  えいとイヨ やっと言て 曳かばノ靡きゃるがノ
  ソノやっと言て えいとえいさらえ


解説:

柳川検校作曲 野川流伝承は野川検校編曲とも言われています。

 

一 比良や小松の遊女のもとへ 朝早くから舟で通えば

  着物の褄が磯打つ浪に濡れます

二 塩津海津の遊女屋にいって 坂本の遊女を思い出す
  (上りたいは登楼したいという意味)

三 門に立っているのは八文字さまか?(人の名前?愛称?)
  夜風は身の毒ですよ 内にはいりなさい
  (遊女が漂客や浮かれ男を格子の内から呼びかけている)

四 あれは何時だったかあなたを見初めて 私は千鳥が鳴かぬ
  間でも あなたを思っている

五 三条の釜座町で女の許に泊まった
  我が夫は名古屋の築城に人夫として召集されたので 留守の間は寂しい
  えいえいやっと言って石を曳く夢を見た
  えいえいやっと言って袖を曳くと靡くだろうか 

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