箏 その3 箏と琴

コトという漢字は2種類あります。琴(きん)のことと箏(そう)のことです。
どちらを使うのが正しいの?とよく聞かれます。
どちらもコトなので間違いはないのですが、厳密には区別して考えられています。
平安時代には『琴のこと(きむのこと)』『箏(さうのこと)』と二種類のことが
登場してきます。どう違うのか、その辺りを少しお話いたします。

琴のコト

 

琴のコトは通常中国の七弦琴をさします。
柱は立てず、ポジションを左手で押さえながら
右手で撥いて演奏します。日本の「一弦琴」や
「二弦琴(八雲琴ともいう)」がこれにあたります。

箏のコト

 

日本における箏は十三弦の柱を立てて爪を使って弾く
コトをさします。箏の歴史でも少し触れましたが、
雅楽の箏を「楽箏」筑紫箏の箏を「筑箏」八橋検校以降の箏を「俗箏」と呼びます。
現代では17弦・20弦など、弦の数が多い箏も出てきていますが
これらも全て箏のコトです。

 

ただ、箏という漢字は常用漢字ではありませんので、
箏の代わりに琴という漢字を使う場合もあります。
ちなみに「こと」と変換してみてください。琴の字しか出てきません。
分類上、厳密にはこう使うという認識で、別にどちらの漢字を使われていても
そう大した問題ではないということです。

kotoji1

これが柱です。箏のコトに使用します。